2011年10月3日月曜日

澪に幸せな日々は訪れるのか

「心星ひとつ」 みをつくし料理帖6
高田郁

文庫: 297ページ
出版社: 角川春樹事務所
ISBN-10: 4758435847
ISBN-13: 978-4758435840
発売日: 2011/08/18

 料理人澪の成長を描くシリーズ第6弾。
 今回は夏の始まりから霜月の末まで、自分はこれでよいのか、と悩む姿が描かれる。

青葉闇―しくじり生麩
 版元・坂村堂は実は料理屋一柳の息子だった。一柳の主人から、澪は料理人としてのあり方を問われることになる。

天つ瑞風—賄い三方よし
 葉月、秋の気配も感じられる季節となり、というのだから、今の季節感とは少しかけはなれているか。
 つる家を神田の一等地へ移転するか、天満一兆庵を吉原で再建するか、という願ってもない話が舞い込む。澪が選択したのは。
 また、吉原のあさひ太夫とのふすま越しの会話もかなうことになり、あらためて澪の決心は固まる。

時ならぬ花―お手軽割籠
 近隣の店の不始末から火を使う刻限を制限されることになり、苦肉の策で作り上げた弁当が好評を得る。だが、一柳の主人からお手軽な弁当を作るなど邪道だと言われてしまう。
 そして、澪が秘かに恋する小松原、実は小野寺一馬という武家の姉が料理の手ほどきを受けたいと訪ねて来る。その真意は澪を一馬の嫁に迎えたいという。

心星ひとつ―あたり苧環
 嫁入り前に武家へ奉公にあがるという話が進んでゆき、澪の悩みはふかまっていく。小松原自身からも、嫁にきてほしいと乞われたことが澪を落ち着かなくさせるのだ。医師の源斉はそんな澪に動かない星を探せば良いと、心星、北極星のことを教える。

 というわけで、シリーズの転回点。さて、どうなる。
 澪は武士の妻となって料理など縁遠い生活に入ってしまうのか、そこで料理の腕をふるうことになるのか。
 ただ、澪の恋心がここにきて揺れ動いているのが気になる。恋に生きるより、料理を喜んでくれる人々のなかで生きて行きたいと願う気持ちも強くなってきているようだ。
 
 さあ、これからも目が離せない。
 

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