2011年8月13日土曜日

首都をねらうミサイル、対するは自衛隊BMD

「迎撃せよ」
福田 和代

単行本: 389ページ
出版社: 角川書店
ISBN-10: 4048741616
ISBN-13: 978-4048741613
発売日: 2011/1/29
 前々回のレビューに続く福田さんの作品。
 それも、超話題作。と期待がつのる。
 たしかに、スタイリッシュ、そしてクール。かっこいい作品。

 プロローグ、4月のある日、マレーシアから中国に曳航されていくメガフロートが武装集団に奪われる。
 そして、「北」から弾道ミサイルが日本に向けて発射される。ミサイルは日本上空を通過して太平洋上に落下した。自衛隊のミサイル防御部隊はそれを見送り、実被害のなかったことで安堵するのだが。
 そのどさくさの中、岐阜の自衛隊基地からF−2戦闘機が何者かに奪われ、装備していたミサイルが富士山麓の樹海に発射される。
 
 主人公は航空自衛隊府中基地に所属する安濃一尉。いまは強迫神経症にも似た症状に悩まされている。しかし、彼は退官した加賀山一佐に薫陶を受け、真の自衛隊員としての心に目覚めていた。
 安濃の部下、遠野真樹二尉。女ながらピストルの腕はオリンピック選手として折り紙つき。彼女が安濃をバックアップして事件が進展する。

 F−2戦闘機を奪った犯人から日本政府に脅迫状が送られて来る。30時間後にミサイルを打ち込む。身代金は9億円。
これは「北」の陰謀なのか?
 9億円では戦闘機1台にも及ばない額だ。
 犯人の狙いは本当は何なのか?

 そして安濃が師と仰ぐ加賀山元一佐。加賀山が何かを握っていると見た安濃は、彼が身を潜めている北軽井沢へ単身乗り込んで行く。
 そこではすでに工作員たちが罠を仕掛けて待ち受けていた。安濃を追って北軽井沢へ向かう真樹と自衛隊員たち。工作員たちの襲撃をかわした安濃と真樹は真相を握る加賀山を追求していく。
 
 「北」の工作員の狙いと加賀山が目指すもの。その乖離と、それを予測している加賀山が目標としていた真の対象とは?
 ミサイルは打ち込まれるのか。奪われた戦闘機は撃墜されるのか。ミサイルが発射されたときに迎撃できる能力は自衛隊に存在するのだろうか?
 
 きれいにまとまりすぎた、といえば言い過ぎかな。国産ミリタリー・ミステリーを期待する向きには、あっさりし過ぎ。ハイテクスリラーにすれば短かすぎるかも。日本の風土に根ざした軍事小説は、まだまだ発展途上のようだ。
 

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