2011年3月14日月曜日

幕末日本をリードしていく快男児の成長


『ジョン・マン 波濤編』

山本 一力


単行本: 290ページ
出版社: 講談社 (2011/1/6)
言語 日本語
ISBN-10: 4062167697
ISBN-13: 978-4062167697
発売日: 2011/1/6


     幕末の風雲児、中浜万次郎。遭難して漂流した土佐の漁師がアメリカの船に救われて渡米、アメリカの実態をつぶさに観察、倒幕の大きな力となる知識を持ち帰って日本の夜明けを早めた。アメリカ人につけてもらった愛称がジョン・マン。
     というのが通りいっぺんの知識だと思う。
     昨年の大河ドラマでもトータス松本さんが、その前の篤姫では勝地涼さんが演じていて、いいポイントをおさえる役どころ。

     さて、その万次郎と同郷の山本一力さんが描く大河小説。今回はその1冊目。

     開幕は米国北部、マサチューセッツ州フェアヘブンの向かいにあるニューベッドフォード。
     アイルランド訛が「んだべ」などと表記され、万次郎たちの土佐弁と対をなす。
     ホイットフィールド船長が新しい捕鯨船「ジョン・ハウランド号」の出帆に先駆けて地元の豪商たちと商売の駆け引きに忙しい。
     この本は確か日本の時代小説だよな、と、思わず表紙を確かめる、こともないけどね。

     かたや日本の足摺岬近辺の中ノ浜では、12歳の幼い身で漁師たちの炊事役をまかされていた万次郎が、ある事情から母との辛い別れを余儀なくされる。
     中ノ浜から宇佐浦までの舟の旅。
     その舟の中で筆之丈という漁師に出会う。
     筆之丈にも万次郎の目の良さ、舟の中での炊事作業を見る勉強熱心さなどを認められ、漁師の仲間に引き入れられることになる。

     さて、物語はまだまだ始まったばかり。
     12歳の万次郎が14歳になり、目出たい新年の初竿に同乗したころ、ジョン・ハウランド号は日本近海での捕鯨漁に向かっている。
     さあ、堂々たるオープニングを楽しもう。
     

    0 件のコメント:

    コメントを投稿

    爺の読書録